あおによし 秋の奈良
今週のお題「読書の秋」
秋と言えば、紅葉。紅葉と言えば、京都、奈良。でも奈良は京都と違ってびっくりするほど何もない。あるのは、原っぱ(=遺構)と山と寺、そして鹿。悠久の時がたおやかに流れてるアナザーワールド。
万城目学の「鹿男あおによし」。
大学院を追い出され、奈良の女子高に物理の期間限定教師として赴任した、神経衰弱な「オレ」が、悠久の奈良を舞台に、神の使いである鹿にこき使われつつ、日本を救うことために奔走する、全くもって人を食った、時空を超えた奇想天外ストーリー。
秋の夜長に奈良をボンヤリ思い浮かべながら読むと、リアルに映像が浮かんできて、面白さ倍増間違いなし。くだらないけど面白い。でも実は、何となく世間とも自分ともズレてしまっている青年が、ドタバタを通じて己を受け入れていく、夏目漱石の「坊っちゃん」へのオマージュ的な作品でもあったりする。万城目さん、凄腕。やる〜。