songemen gemenson mensonge

サックスと日常と非日常の記録

心ほっこり「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」。

鴨川ホルモー」から始まった破天荒な関西三部作の次がこれ?「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」なんて、幼児向けの絵本シリーズをパクったようなタイトルは一体なんなんだろう、と疑念満載で読み進めると。。。この人はなんて多才多彩な人なんだろう。

小学一年生のかのこちゃん、猫のマドレーヌ、この二人?を軸に織りなすストーリー。こんなにほっこりとしたあったかい気持ちになるのは久しぶりだ。

ボクが好きなのは、例えば、、、かのこちゃんの知恵啓き、かのこちゃんとすずちゃんの大人のお茶会、マドレーヌと玄三郎の出会い、マドレーヌの冒険譚などなど。心踊るエピソードが散りばめられている。かのこちゃんとすずちゃんのやりとりは、まるで自分の娘を慈しむ眼差しになる。玄三郎とマドレーヌの世界は、老いた男と相応に生きてきた大人の女の風景、川上弘美さんの「センセイの鞄」を思い出す、愛情交歓。夫婦の会話は小津映画のワンシーンのよう。

あ〜〜、大人のためのファンタジー小説ってこういうものなんだ、きっと。心にオアシスがフツフツと湧いてきました。読後数日経っても、思い出す度に、心がほっこりします。心が荒んだあなたに是非。

 

かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (角川文庫)