色のない小説 カズオ・イシグロ「わたしを離さないで」
薄い靄がかかっている。読み始めてから読了した今も、ボクの頭の中にずっと薄い靄がかかっている。イギリスの田園地帯の、海に程近い街の、薄い靄の彼方で、キャス、ルースそしてトミーが、友情、愛憎、別れ、かりそめの人生を生きる。遠い日の記憶を宿しながら、「使命」のために彷徨い生きる。存在を否定された中で存在し続ける。虚無に陥ることなく、ありのままに受け入れ、ただ存在する。恐ろしく色のない小説だ。
ボクはまだ呆然としている。
薄い靄がかかっている。読み始めてから読了した今も、ボクの頭の中にずっと薄い靄がかかっている。イギリスの田園地帯の、海に程近い街の、薄い靄の彼方で、キャス、ルースそしてトミーが、友情、愛憎、別れ、かりそめの人生を生きる。遠い日の記憶を宿しながら、「使命」のために彷徨い生きる。存在を否定された中で存在し続ける。虚無に陥ることなく、ありのままに受け入れ、ただ存在する。恐ろしく色のない小説だ。
ボクはまだ呆然としている。