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サックスと日常と非日常の記録

【再レビュー】カズオ・イシグロ「わたしを離さないで」

この物語はキャシー・H ( =キャス ) が、淡々と訥々と言葉を探しながら綴るモノローグであり、そしてキャスとルース、トミーをめぐる彼らの20年、30年のクロニクルである。そこにはボクらの50年くらいの人生が凝縮している。彼らは、不条理、ささやかな抵抗…

色のない小説 カズオ・イシグロ「わたしを離さないで」

薄い靄がかかっている。読み始めてから読了した今も、ボクの頭の中にずっと薄い靄がかかっている。イギリスの田園地帯の、海に程近い街の、薄い靄の彼方で、キャス、ルースそしてトミーが、友情、愛憎、別れ、かりそめの人生を生きる。遠い日の記憶を宿しな…

<アドリブ対策> ジョセフ・ビオラ Joseph Viola :Technique of the Saxophone vol.2 Chord Studies

あの〜、アドリブちっとも上手くならなくて、コードトーン並べてばっかでカッコ悪いんですけど。テンション入れてもズレちゃって。やっぱりツーファイブのフレーズとか、オリバーネルソンのなんちゃらをひたすら繰り返すのでしょうかぁぁぁ。。。と、師匠に…

静岡ケンミンがうらやましい!激ウマハンバーグ「さわやか」

お姉さんが優しい笑顔とともに運んでくれた熱々の鉄板の上には、モクモク煙とジュウジュウ弾ける音を立てた、ゲンコツハンバーグ。 油が飛んで来ないようにしっかりガードしたところで、お姉さんがお肉をふたつにパックリとカット。 そのまま鉄板に押しつけ…

心ほっこり「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」。

「鴨川ホルモー」から始まった破天荒な関西三部作の次がこれ?「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」なんて、幼児向けの絵本シリーズをパクったようなタイトルは一体なんなんだろう、と疑念満載で読み進めると。。。この人はなんて多才多彩な人なんだろう。 小学…

「プリンセス・トヨトミ」 万城目学の大阪愛

大阪愛。「プリンセス・トヨトミ」は、万城目学の大阪そして大阪の人々への愛情を描いた作品。 万城目さんの作品は、優れたエンターテイメントであると同時に、作を重ねる度に、人間への洞察や愛着がどんどん深まり、作品としての深みが増しているように思う…

黒い白人バッパーDave Schildkraut

セッションのネタ仕込みで、久々のMilesの"Walkin'"。ボクは"Walkin'"って、頭の2曲が大仰でどうも苦手で、ずっと避けてましたが、3曲目の"Solar"以降は別物ですね。やはり名盤。そして"Solar"を久しぶりにマジメに聴いてみて、ビツクリ。このアルト誰よ?パ…

やっぱりモンスナックが好き

モンスナックって知ってる? 名前が微妙だけど場末のスナックじゃないよ。 新宿の紀伊國屋紀書店さんの下にある由緒正しい?カレースタンドです。 なんで由緒正しいかというと、昔から紀伊國屋書店に出入りする作家や俳優や芸人 さんの食堂がわりのお店。な…

「鴨川ホルモー」??ジェットコースター小説!

今週のお題「読書の秋」 「鴨川ホルモー」?なんじゃそりゃ?? ボクは千葉の鴨川シーワールド近くのホルモン焼き屋で繰り広げられる、人情味溢れる小説(居酒屋兆治のイメージね)と勝手に思い込んでいて、何年もスルーし続けてました。 まさか京都を舞台に…

衆院選 小池氏は進化形トランプか?

小池氏およびその周辺の人々の発言が定まらない。日曜日のNHK番組で側近の若狭氏が政権奪取は今回は狙わない旨の発言をし、その真意を訝しく思ったが、早速2日、小池氏自ら政権奪取の意向を示した。マスコミや大衆の反応に合わせて言を左右する、その場しの…

民進党 解党、次の展開は。

前原氏としては珍しくクリーンヒット。というよりも民進党としては小池氏が希望の党を立ち上げた段階で完全に詰んでいた。必然の結果としての解党、希望の党への合流である。纏まらないことがお家芸の民進党も、最早揉める力もなく解党のを道を選んだ。 当初…

川上弘美「センセイの鞄」

今週のお題「読書の秋」 少し前の日経新聞の夕刊連載で「森へ行きましょう」という不思議な小説があった。 ルツという主人公の女の物語が、異次元で同時進行に複数繰り広げられる。それも多次元で。 それぞれのルツ、留津、、、、は、林くんやら 〇〇さんや…

あおによし 秋の奈良

今週のお題「読書の秋」 秋と言えば、紅葉。紅葉と言えば、京都、奈良。でも奈良は京都と違ってびっくりするほど何もない。あるのは、原っぱ(=遺構)と山と寺、そして鹿。悠久の時がたおやかに流れてるアナザーワールド。 万城目学の「鹿男あおによし」。 …

建築家 安藤忠雄

安藤忠雄=アンドータダオというオッサンは、コンクリ打ちっ放しばっか作る、いつも目ん玉ひんむいた、黒タートルばっかり着てる、元ボクサーの、アクの強い大阪の、世界的建築家、とばかり思ってました。が、悔い改めます。 この本は示唆に富んでる。愛に溢…

やっぱムルギーでしょ

やっぱカレーはムルギーでしょ。 道玄坂の百軒店の男性天国を振り切ると、 そこはムルギー。一応インド料理って書いてるけどサテーとか出すし、インドネシアじゃないのと昔から???がついたまま。 で、ムルギーってなんなのよ。 ヒンドゥー語で鶏肉の入っ…

テトラ・ストラクチャー

久しぶりにブログ更新。サックス練習見直しして1年8ヵ月。テキストもいろいろ浮気し試行錯誤。ジェリー・コカーは時々やっている。効くのは間違いない。でもメカニカルトレーニングは味気なくてつらい。ボクのような気分屋にはとくに。地道な練習ももちろ…

リード、色々。

サックスは木管楽器なので、リードはマウスピースと並ぶ、サックスの命。よい音色を求めてと言えば聞こえはよいですが、己れの未熟さを道具に責任転嫁して、古今東西のリードを取っ替え引っ替え。結果、腕前は停滞したまま、リードの種類と在庫量は幾何級数…

マイ フェイバレット 鰻 小倉 田舎庵

都内、川越、浜松、鰻の名店数あれど、マイフェイバレット鰻と言えばココ。九州 小倉の田舎庵。 関西風の外はカリコリ、中はふんわりの絶妙な焼き。 タレも甘すぎず男前。 小倉駅から徒歩5分の静寂の空間。 わざわざ行く価値ありです。 田舎庵 小倉本店093-5…

ジェリー・コカー「パターン・フォー・ジャズ」 Jerry Coker "Pattern for Jazz"

セッションをてんこ盛りにしすぎて完全に消化不良。適当に音出してる完全グダグタ状態に陥ってるので、もう一度パターンプラクティスからやり直そうかな〜と、いつもの浮気性がムクムクと。そんな中、出会ったのが、Jerry Coker "Pattern for Jazz" 。こいつ…

マイルス・デイビス自叙伝

「マイルス・デイビス自叙伝�・�」読了。1940年代から50年近くもジャズの最先端を走り続けた男。 そういえば、クールジャズもハードバップもモードもフュージョンも全部彼が始めた。 最晩年は、なんとプリンスと一緒にやろうとしてた! これだけ次々とスタイ…

司馬遼太郎「翔ぶが如く」

司馬遼太郎「翔ぶが如く」約1ヵ月要しようやく読了。 フォトリーディングも使ってみるものの、じっくり読みたい病のため結局熟読玩味してしまいました。 この作品は、維新後の日本の中央集権化に向け現実的に冷徹に突き進んだ大久保と、維新最大の功労者で…

ペンタ一発野郎からの脱却?

約二時間半、ボックス籠り。今日は、ペンタ一発野郎から、ペンタ二発野郎にグレードアップするため、ブルーノートに加えて、ペンタとバップやりました。Fのブルースで、はめてみると、多少は、音のバリエーションが広がった感じです。でも、音数が増える分、…

オルタードスケール復習

オルタードスケールをさらう。なかなかしどろもどろ。メジャースケールで楽なスケールほど難しく、とくに♭系は頭と手が連動しない。D♭やF♯は楽なんだけれど。 やはり素直に、半音上のJAZZマイナーに引っ付けた方が楽そうだが、トニック以外全部♭する感覚をき…

オルタードの練習

阿佐ヶ谷のBOXにて約4時間。とはいえ前日のシャルドネが残り、砂を噛むような体調。まずはアルトから。本日の練習メニューは、オルタードの12キー、"Fly Me"のコード進行でスケールとアルペジオ、とくにLyd♭7に注意しながら、そしてジェイミーの2-5-1。イマ…

津田大介・孫崎亨 他「日本人が知らないウィキリークス」

「日本人が知らないウィキリークス」読了。ウィキリークスの概略から、技術解説、ジャーナリズム、イデオロギー、国家へのインパクトに至るまで、多面的に論じられている。ウィキリークスは、巷では、いかがわしいハッカーの運営する内部告発サイトのように…

富士吉田 吉田うどん「たけ川』

念願の「吉田うどん」にチャレンジ。先日、日テレの「ケンミンショー」で取り上げられていた「たけ川」というお店へ。中央道の河口湖ICを出て、右(スバルライン方面)へ進み、側道からスバルラインを右折(河口湖駅方面)してほんの少し走ると、左手に田舎…

渋谷koko 森田利久&山中良之 クールジャズ炸裂の夜!

渋谷kokoにて森田利久&山中良之カルテット行ってきました。 不世出のギターの神様、森田さんそして我が師匠、山中さんのテナー&ソプラノ。素晴らしすぎる。 まさにリー・コニッツ、レニー・トリスターノの世界。 世界中探しても、クールジャズをここまで熱…

Day Dream 白日夢

ストレイホーンの作 "Day Dream" を聴きながら、いつの間にか朝を迎えていた。このギターはどなたか知らないけれど、聴く者を、白日夢の非現実感、浮遊感に取り込んでしまい、 いつのまにかまどろみに引きずり込む。 "Day Dream" とはそういう曲だったのか。…

東北地方太平洋沖地震

あの津波の光景は、そしてその後の荒涼とした現場は、ボクの言葉を失わせた。 阪神大震災で被災した、あの時を上回る衝撃そして喪失感を感じた。 まだ早すぎる議論であることであるのは十分承知しているが、備忘録として、ここに書き留めたい。被災者の人々…

「地方の復権」 兵庫県姫路市の例

今日、3日ぶりに帰京した。兵庫県姫路市へは年に一度のペースで足を運ぶが、世界遺産指定以降、着実に賑わいが 戻っている。かつての姫路は、新日鉄に代表される典型的な工業都市で、鉄冷えとともに地盤沈下していき、10数年前の地域経済論の 講義で「衰…