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サックスと日常と非日常の記録

津田大介・孫崎亨 他「日本人が知らないウィキリークス」

「日本人が知らないウィキリークス」読了。ウィキリークスの概略から、技術解説、ジャーナリズム、イデオロギー、国家へのインパクトに至るまで、多面的に論じられている。ウィキリークスは、巷では、いかがわしいハッカーの運営する内部告発サイトのように報道されているが、その実体は、全く新しい形のメディアのようだ。既存のメディアが、政府や企業に制御されたソースに馴らされてしまっている現状において、内部告発も含めたフラットなソースに基づく科学的なジャーナリズムを目指しているとのこと。特に最終章の主権を巡る考察は面白い。国家機密の告発について、巷の浅薄な議論に留めず、国家機密とは何か、誰が規定するのか、国家の主権者は誰なのか、クローバル化が進む今、国家の存在意義は何かというところまで議論は進んでいるようだ。アサンジのスキャンダラスな面ばかり強調して報道されているが、ウィキリークスと国家権力は、もはや近代以降の国家の在り方を脅かすイデオロギー戦争に突入しているようだ。だからこそ、国家は手段を選ばず包囲にかかっているのだろう。