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サックスと日常と非日常の記録

宮元健次『神社の系譜 なぜそこにあるのか』

神社は「自然暦」に基づき、その配置が決定されているという興味深い考察。例えば、鹿島神宮夏至の日の出の方向にタケミカヅチノ神が上陸した明石の浜神門があり、その逆の冬至の日没のライン上には富士山が配されている。また同様に夏至の日没の方向には筑波山が位置する。さらに春分秋分の日没の方向には、タケミカヅチノ神により鹿島を追われたタケミナカタノ神が祀られる諏訪大社が位置する。これは、太陽崇拝における、日の出=再生、日没=死と符合するものであるという。本書では、伊勢神宮熊野本宮大社、鶴丘八幡宮などの名だたる神社と「自然暦」の関係を示し、古代人と太陽崇拝、死と再生の関係について語られる。古代人にとっては、太陽・月・星などの自然は超越的な存在であり、信仰の対象であったことを考えると、一見破天荒にも思えるが、十分にありえる考察かもしれない。ストーンヘンジ等の他の古代遺跡もきっと同じくくりなんだろう。そして、古代人が対峙した絶対的なもの、超越的なものへの畏怖は、科学の時代を経た今、また現代的な問題になった。