建築家 安藤忠雄
安藤忠雄=アンドータダオというオッサンは、コンクリ打ちっ放しばっか作る、いつも目ん玉ひんむいた、黒タートルばっかり着てる、元ボクサーの、アクの強い大阪の、世界的建築家、とばかり思ってました。が、悔い改めます。
この本は示唆に富んでる。愛に溢れてる。
ワタシのココロに刺さった 安藤さんのパンチ
のあるお言葉を記録。
1.マネジメント論
〜われわれは、一人の指揮官と、その命に従う兵隊からなる「軍隊」ではない。共通の理想をかかげ、信念とせきむを持った個人が我が身を賭して生きる「ゲリラ」の集まりである。〜
彼の事務所のマネジメントは「恐怖で支配する」と形容されるが、それはクライアントへの責任とスタッフへの厳しい愛情に基づく、全スタッフを戦力として最大限にワークさせるため、恐怖というよりも、安藤さんの建築への使命感の裏返し。うん、これはマネジメントの嚆矢。
2.住宅建築への思い
〜他人の資金で、その人にとって一生に一回きりかもしれない建物をつくるのだから、それなりの覚悟と責任が必要なのである。〜
ここまでの覚悟をもってワタシは我々は企業は仕事をしてるだろうか。してないな。
3.体験すること
〜抽象的な言葉として知っていることと、それを実体験として知っていることでは、同じ知識でも、その深さは全く異なる。〜
〜20代での旅の記憶は、私の人生にとって、かけがえのない財産となった。〜
ワタシは聞き齧ったことを盾に薄っぺらい批評家づらをして口先だけで何もしない人間になっていないだろうか。
3.都市づくりの思想
〜西欧の、いわゆる歴史都市が、近代化の波にのまれることなく、過去の街並みと建築を守ることが出来たのは、その都市化の背後に「このような方向に進んでいくべし」という理念があったからに他ならない。〜
4.実行力、実現力
〜やりたいことを見つけたら、まずはそのアイデアを実現することだけを考える。現実問題としてどうか、というのはあとで考えればいい。〜
自分は出来ない理由を見つけてないだろうか。上手く行かないことを他人のせいにしていないだろうか。そして安心していないだろうか。
5.子供、教育
〜子供を過保護の世界に閉じ込める家庭と社会のシステムが、子供の自立を阻んでいる。〜
自分に都合よく子供を育てていないだろうか。
6.生き方
〜人生に光を求めるのなら、まず目の前の苦しい現実という影をしっかり見据え、それを乗り越えるべく、勇気をもって進んでいくことだ。〜
ワタシは、現実と四つに組まず、逃げていないだろうか。言い訳探しばかりしていないだろうか。
安藤さんの自伝は、優れた建築論であると同時に、マネジメント、仕事、グローバリズム、地域再生、教育、生き方などなどに対する、安藤さんの考えが散りばめられた、とてもスリリングな一冊だ。