songemen gemenson mensonge

サックスと日常と非日常の記録

やっぱりモンスナックが好き

モンスナックって知ってる?

名前が微妙だけど場末のスナックじゃないよ。

新宿の紀伊國屋紀書店さんの下にある由緒正しい?カレースタンドです。

なんで由緒正しいかというと、昔から紀伊國屋書店に出入りする作家や俳優や芸人

さんの食堂がわりのお店。なので壁にはギョーカイのお歴々が鎮座してる。

でも所詮カレースタンドです。ハイカウンターで、くつろげません。

ささっと食ってささっと出る。江戸前です。

だからカレーもさっぱりしてます。スープカレーなんて言葉が出てくる遥か前から

スープカレーやってます。大昔から飲み物です。

肉に合わせてカレーソース変えるなんて、細かい芸もやってます。

ポークとチキンは一緒かな。ビーフは少し欧風の濃いめ。

でも一押しはポークですね。名物カツカレーも、ボクの一押しコロッケカレーも

みんなが愛してやまないカレーはみんなポークカレーベース。

カツもコロッケも唐揚げもカレーにひたしてビシャビシャに。

週に一度は食べに行きます。わざわざ出かけます。

店員さんはいつも変わらず愛想が悪いです。でもテキパキして気持ちいいです。

興味がそそれば、足を向けてください。

好きな人だけに好きになって欲しいお店です。

 

(コロッケカレー)ルーにひたして中のポテトもフライ皮もぐじゃぐじゃにして食べる

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「鴨川ホルモー」??ジェットコースター小説!

今週のお題「読書の秋」

鴨川ホルモー」?なんじゃそりゃ?? ボクは千葉の鴨川シーワールド近くのホルモン焼き屋で繰り広げられる、人情味溢れる小説(居酒屋兆治のイメージね)と勝手に思い込んでいて、何年もスルーし続けてました。

まさか京都を舞台に、安倍だの菅原だの楠木だの何だか意味ありげな名前の大学生達が「ホルモー」なる訳のわからない戦いを繰り広げる、奇想天外ドタバタ青春ストーリーとは想像だにしませんでした。

で、これ本当にくだらないけど面白い過ぎる。まるでジェットコースタームービー。

究極に破天荒な設定であるにも拘らず、それを凌駕してしまう緻密なストーリーや徹底したキャラの作り込みは凄いね、もはや変態だ。漫画的な小説とも言えるけれど、そんな境界線を簡単に超えてしまっている作者の腕を見せつけられる小説。作者 万城目学さんは京大出身と聞いてさもありなんと。変態ぶりも京大のよき伝統を引き継いでいて頼もしい。

あんまり書きすぎると本を手にとる楽しみを奪ってしまうので、ストーリーのことは書きませんが、浮世離れした、抱腹絶倒、スカッと爽やか、ちょっとインテリ風、おまけに京都の風情も楽しめる、グリコのおまけ満載の青春小説。同作者の「鹿男あおによし」や「プリンセス トヨトミ」とはちょっと違った粗削りな疾走感あふれる快作/怪作です。

秋の夜長に、京都のガイド本を手に、是非堪能しておくれやす。

 

鴨川ホルモー (角川文庫)

鴨川ホルモー (角川文庫)

 

 

衆院選 小池氏は進化形トランプか?

小池氏およびその周辺の人々の発言が定まらない。日曜日のNHK番組で側近の若狭氏が政権奪取は今回は狙わない旨の発言をし、その真意を訝しく思ったが、早速2日、小池氏自ら政権奪取の意向を示した。マスコミや大衆の反応に合わせて言を左右する、その場しのぎのデマゴーグ政治家なのか、優れた戦略眼を備えた政治家なのか。

キャスター出身だけあって、イメージ戦略、マスコミ操作、そして空気を読むことに長けていることだけは間違いない。その政治スタイルから小泉劇場になぞらえて小池劇場と呼ばれているが、実態は異なる。小泉氏は、是非はともかく、郵政民営化を政策として打ち出し続け、マスコミやパフォーマンスを駆使して民意を味方につけ、事を成した。政治理念、政策実現のための戦略としての劇場型政治であったのに対し、小池氏からは具体的な政策や戦略は見えない。加計問題などの不透明な政権運営への批判として政治の見える化や改革実行スピードが遅い、と言った耳触りはいいが感覚的な言葉が繰り返されるばかりだ。私はそもそも政治の見える化なんて主張自体が、ナンセンスだと思う。

唯一明確なのは改憲志向。その目指す所はよく見えないが、どちらかと言えば安倍氏に近く、選挙後の自民との改憲大連立も勘繰ってしまう。

都知事選、都議選、そして都政の実績を見る限り、美辞麗句は並ぶものの実は何もしていない。豊洲問題は実質的には問題の先送り、オリンピックもうやむや。確かに前任者の政策決定プロセスの不備?を晒し、有権者とマスコミの自己満足させただけで、何ら建設的な政策決定がされたわけではない。何と無く有権者が政治参加し、政治が透明化したかのように錯覚させ、満足させる、言うなればマジックだ。

小池氏の政治は、トランプ大統領や小泉氏の得意とする、わかりやすい対立構造を演出し民意とマスコミを味方につけ巧みにブームを巻き起こす一方、トランプを反面教師よろしく、あくまで清新なイメージは崩さない。高度にコントロールされたパフォーマンスだ。ただトランプのような明確な主張はない。

今回の政局の回し方は見事と言う他ないが、その先に治世を行うだけのビジョンと実行力があるか。小池氏は、果たしてただの自己顕示欲の強いデマゴーグのマジシャンか、信念を内に秘めた政治家か。幻惑されないよう言動を監視し続けなければならない。

民進党 解党、次の展開は。

前原氏としては珍しくクリーンヒット。というよりも民進党としては小池氏が希望の党を立ち上げた段階で完全に詰んでいた。必然の結果としての解党、希望の党への合流である。纏まらないことがお家芸民進党も、最早揉める力もなく解党のを道を選んだ。

当初、自民党に対峙する力はない前原民進党は、自民との二極構造を作り出すために、かつて自ら民主党から叩き出した小沢自由党と連携し野党結集の旗印を立てることを模索していた。これとて対自民党の対抗勢力としてはあまり迫力に欠け、国民の期待値が無いに等しい民進党の壊滅は免れない状況だったが。そこに希望の党が登場した結果、その選択肢も潰えた。本来第三極である希望の党の期待値の方が圧倒的に高く、第ニ極であった民進党は、自民党への対抗勢力として舞台に立つ権利すら失った。

今後の展開としては、改革保守の踏み絵旗の下、民進党は分裂、左派は社民党と連携せざるを得なくなるだろう。結果として民進党純化され、従来よりは統治しやすい政治集団になる。

政策争点がほぼなく、スキャンダルやイメージで、国の方向が決まる、B層戦略にぴったりの状況なので、キャスターあがりの小池氏はマスコミをフル活用して、中身はないがイメージだけよい広報戦略を駆使し、恐らく辛勝する。

前原民進党がキャスティングボードを握るには、小沢一郎氏と恩讐を乗り越えてを結び、小池氏に呑まれない戦術を駆使すること、そして過剰な自意識を抑え込み理念を推し進める政治家になること。この2点が要諦。 

 

川上弘美「センセイの鞄」

今週のお題「読書の秋」

少し前の日経新聞の夕刊連載で「森へ行きましょう」という不思議な小説があった。

ルツという主人公の女の物語が、異次元で同時進行に複数繰り広げられる。それも多次元で。

それぞれのルツ、留津、、、、は、林くんやら

〇〇さんやらといった名前も姿形も同じ人間と

各次元ごとに異なる関係、物語を繰り広げる。

ボクはこの小説の不思議な浮遊感を味わい

ながら、リサ・ランドールという、とびきり

美人でとびきり優秀な理論物理学者の「ワープ

する宇宙 5次元時空の謎を解く」という本

の中で繰り広げられる、多次元空間の世界を

ボンヤリ思い浮かべていた。

その小説を書いていたのが、川上弘美さん。

以来彼女のことがチラチラと気になり

彼女の作品を何冊か手にとって見た。

それぞれに肌あいは異なるのだけれども、

いずれにも共通するのは、独特な浮遊感、

幻想感、距離感そして時間感覚、空間感覚。

なんだか鈴木清順の映画のような気持ちの

よい違和感。

さて川上さんの「センセイの鞄」は彼女の

作品の中でも割とメジャー。

センセイとかつての教え子の中年女子ツキコ

さんの、淡交、そして恋。

川上さんの文章は簡潔で端正で清廉だ。
擬音ひとつとっても、普段と違う音がする。
木々の描写ひとつとっても、見え方が違う。

二人の時間は、淡い光の中で、幻想のように、

トツトツと別の次元で繰り広げられている。

現実の時間空間と、センセイとツキコさんに

だけに流れる時間空間。

そしてその光に包まれるような読後感。

まだ異次元の光の残像がボクの周囲に漂って

いる。何度も読み返し、味わいたい世界。

 

センセイの鞄 (文春文庫)

センセイの鞄 (文春文庫)

 

 

あおによし 秋の奈良

今週のお題「読書の秋」

秋と言えば、紅葉。紅葉と言えば、京都、奈良。でも奈良は京都と違ってびっくりするほど何もない。あるのは、原っぱ(=遺構)と山と寺、そして鹿。悠久の時がたおやかに流れてるアナザーワールド

万城目学の「鹿男あおによし」。

大学院を追い出され、奈良の女子高に物理の期間限定教師として赴任した、神経衰弱な「オレ」が、悠久の奈良を舞台に、神の使いである鹿にこき使われつつ、日本を救うことために奔走する、全くもって人を食った、時空を超えた奇想天外ストーリー。

秋の夜長に奈良をボンヤリ思い浮かべながら読むと、リアルに映像が浮かんできて、面白さ倍増間違いなし。くだらないけど面白い。でも実は、何となく世間とも自分ともズレてしまっている青年が、ドタバタを通じて己を受け入れていく、夏目漱石の「坊っちゃん」へのオマージュ的な作品でもあったりする。万城目さん、凄腕。やる〜。

 

鹿男あをによし (幻冬舎文庫)

鹿男あをによし (幻冬舎文庫)

 

 

建築家 安藤忠雄

安藤忠雄=アンドータダオというオッサンは、コンクリ打ちっ放しばっか作る、いつも目ん玉ひんむいた、黒タートルばっかり着てる、元ボクサーの、アクの強い大阪の、世界的建築家、とばかり思ってました。が、悔い改めます。

 

この本は示唆に富んでる。愛に溢れてる。

ワタシのココロに刺さった 安藤さんのパンチ

のあるお言葉を記録。

 

1.マネジメント論

〜われわれは、一人の指揮官と、その命に従う兵隊からなる「軍隊」ではない。共通の理想をかかげ、信念とせきむを持った個人が我が身を賭して生きる「ゲリラ」の集まりである。〜

彼の事務所のマネジメントは「恐怖で支配する」と形容されるが、それはクライアントへの責任とスタッフへの厳しい愛情に基づく、全スタッフを戦力として最大限にワークさせるため、恐怖というよりも、安藤さんの建築への使命感の裏返し。うん、これはマネジメントの嚆矢。

 

2.住宅建築への思い

〜他人の資金で、その人にとって一生に一回きりかもしれない建物をつくるのだから、それなりの覚悟と責任が必要なのである。〜

ここまでの覚悟をもってワタシは我々は企業は仕事をしてるだろうか。してないな。

 

3.体験すること

〜抽象的な言葉として知っていることと、それを実体験として知っていることでは、同じ知識でも、その深さは全く異なる。〜

〜20代での旅の記憶は、私の人生にとって、かけがえのない財産となった。〜

ワタシは聞き齧ったことを盾に薄っぺらい批評家づらをして口先だけで何もしない人間になっていないだろうか。

 

 3.都市づくりの思想

〜西欧の、いわゆる歴史都市が、近代化の波にのまれることなく、過去の街並みと建築を守ることが出来たのは、その都市化の背後に「このような方向に進んでいくべし」という理念があったからに他ならない。〜

 

4.実行力、実現力

〜やりたいことを見つけたら、まずはそのアイデアを実現することだけを考える。現実問題としてどうか、というのはあとで考えればいい。〜

自分は出来ない理由を見つけてないだろうか。上手く行かないことを他人のせいにしていないだろうか。そして安心していないだろうか。

 

5.子供、教育

〜子供を過保護の世界に閉じ込める家庭と社会のシステムが、子供の自立を阻んでいる。〜

自分に都合よく子供を育てていないだろうか。

 

6.生き方

〜人生に光を求めるのなら、まず目の前の苦しい現実という影をしっかり見据え、それを乗り越えるべく、勇気をもって進んでいくことだ。〜

ワタシは、現実と四つに組まず、逃げていないだろうか。言い訳探しばかりしていないだろうか。

 

安藤さんの自伝は、優れた建築論であると同時に、マネジメント、仕事、グローバリズム地域再生、教育、生き方などなどに対する、安藤さんの考えが散りばめられた、とてもスリリングな一冊だ。

 

建築家 安藤忠雄

建築家 安藤忠雄